2017.04.15
第11回 担当 山上 安見子

ぼくの眼は千の黒点に裂けてしまえ
古代の彫刻家よ
魂の完全浮遊の熱望する、この声の根源を保証せよ
ー吉増剛造「失踪詩編」
慶応大学在学中から本格的に詩作を開始。キャバレーの店員や、釜ヶ崎でのビート詩人たちとの交流、アイオワ大学での客員教授を経験。詩の朗読パフォーマンスの先駆者。「カミカゼ・ゴーゾー」の異名を持つ。詩作には漢文のレ点や極小文字を使意、判読不能の部分もあるが。若い世代を中心に注目を集めている。「全身詩人」とも。
どんな人間にもその奥底には怪物がいる。今と違う世界を見るには、常にその怪物にさわり続けていないといけないと、語る。
2016年、東京国立近代博物館で詩人としては異例の大規模な展覧会が開催された。
連れ添いと別れた独居生活の二日目
大きな街の 小さな部屋で
彼は しょんぼりしていたのだが
あてもなくドヤ街に出た人間の汚れた部分だけの匂いに
まち全体がつかっている
ー高橋鐵次郎「おらぶ魂を求めて」
継母に自分の存在を無視され続けた幼少期の体験を持つ。『俺は存在してはいけない人間ではなかったのか』との想いを抱き続け、その想いが彼を詩作に向かわせた。
釜ヶ崎、北陸能登、金沢そして現在のウラ難波と住所も職業も転々とし、漂泊しながら詩作を続ける。
“ダレダッテ一度ハ/詩ヲ想フトキガアル
ソノ一行ヲ書イテミタイダケナノダ”
ソノ一行を求めて、今もえんぴつを舐め舐め書き続けている


担当者プロフィール
山上安見子(やまのうえ やすみこ)
1956年7月12日生まれ。
青山学院文学部卒 広島大学法学部卒
主な著書「赫い月」「ベルオンム」 「パンティの干してある家」
リトルがリヴァー社HP連載「ブリザードの哭く夜に」「ピアノ色の猫」「利休椿」
2017年7月 大地の神話出版予定