2017.03.01
第8回 担当 下田喜久美

よけいなものを ふりおとしふりおとし 何時しか一色の風になっている
—下田喜久美
上記の詩は「母さんの花」かど創房の詩集の独楽という詩である。
「まあるくまあるく からだすべてが 渦となって 自分の居場所を探しながら 心の中心へ思い出をまきつけ」の次に来る詩句。
宇宙的なものにまで延びてゆく、個の律動。厳しく降り落としてしか、自分の居場所を見いだせず、現実を振り切る、切実な思いで描かれた。独楽は、切羽詰まったところでの達観である。いのちの階(きざはし)で見た、和への憧れなど、日本人のDNAに張り付いた独楽の詩と言える。NHKやFM大阪などでも放送された。
港湾の詩学でヨーロッパ10か都市を訪問。マケドニア・スツルーガ詩祭。ルーマニア・ミハイエミネスク詩祭に招聘され参加朗読。(2013年と2015年)

下田喜久美(1942年12月29日生)
詩人、大阪生まれ。日本ペンクラブ会員、詩と童話「このて」主宰。創作童謡「黄金のあみ」創立者。日本国際詩人協会会員。21世紀創作歌曲「まほろば」会員。多くの詩人朗読者を育成し輩出。
「主な詩集」リトル・ガリヴァー社刊「シエナの始原」てらいんく社「下田喜久美詩選集」らくだ出版「スタートの朝」など13冊。日英バイリンガル詩集。「果樹園」「下田喜久美の詩による歌曲集、(2013年)でこの2冊に日本国際詩人協会賞を受賞。「星の二重奏」ラウラ、ガラバリヤと共著(2015年)。「雪の二重奏」ピア、タフドラップと共著(2017年)。また与謝野晶子研究会代表。

花はなぜ美しいか 一筋の気持ちで咲いているからだ。
—八木重吉
詩句の意味は、純粋でまっすぐな気持ちで花が咲くから美しいと、歌っているが、彼の内奥を映したものだ。又照らし出された詩と言えるだろう。花に託して、神の前では歌う事すら、詩作すら罪悪だと感じ取っていた彼は実に敬虔に花を題材にうたった。後年教会でも支持され「神を呼ぼう」が出版された。

八木重吉(1898年2月9日生―1927年10月26日没)
日本の詩人。東京多摩郡に生まれる。千葉県で中学の英語教師をしていた。富永徳磨牧師から洗礼を受け、日本プロテスタントの信者となる。未来の妻となる島田とみと出会う。このころより精力的に詩を書き始め自家版10数冊の詩集を編んだ。「詩の家」の同人となる。新聞や雑誌に、詩を発表したが結核病を患う。5年間で書いた短い詩は2000を超える。
上の詩は、「ノートA」より。詩集は、「秋の瞳」。第2詩集は病中に書いた「貧しき信徒」であるが、その完成を見ることなく、二人の遺児桃子と陽ニを置いて夭折。しかも悲劇はそれだけでなく、子供たちも結核で死亡。残された妻とみは歌人の吉野秀雄と後年、結婚した。戦後にはクリスチャン詩人として有名になる。1982年筑摩書房から八木重吉全集が、1988年にはちくま文庫から八木重吉全詩集(全2巻)が出版された。


担当者プロフィール
下田喜久美(しもだ きくみ)
日本ペンクラブ会員、国際詩人協会会員、同人誌このて主宰、教科書副読本に詩多数掲載あり、詩集は「スタートの朝」「下田喜久美詩選集」など13冊。
バイリンガル詩集4冊あり、童謡の会「黄金のあみ」事務局。
日本詩人協会優秀賞受賞(2013年)マケドニア、ルーマニヤなど国際詩祭に招聘され参加(2013-2015年)ヨーロッパ10日都市へ港湾の詩学で参加。(2012年)