01回 玉木文憲さん

02回 トーマス青木さん

03回 支刈誠也さん

05回 喜多圭介さん

06回 福堀武彦さん

07回 田野倉悟さん

09回 あまのしげさん

11回 柴崎昭雄さん

12回 大山真善美さん

13回 外岡立人さん

14回 木村司さん

15回 浜野伸二郎さん

16回 泉忠司さん

17回 阿波野ひみ子さん

18回 松浦徹郎さん

20回 玉木文憲さん

22回 濱口隆義さん

23回 佐藤ミツアキさん

24回 篠永哲一さん

25回 佐藤正子さん

26回 尹 達 世さん

27回 石黒敏明さん

28回 緋野 晴子さん

29回 菅原勇太さん

30回 山田博泰さん

31回 万彩タモンさん

32回 津田美智子さん

33回 物河 昭さん

34回 武田久生さん

35回 菅原やすのりさん

36回 朝あさおさん

37回 菅野正人さん

38回 支刈誠也さん

39回 丸子睦美さん

40回 山上安見子さん

41回 久保田隼斗さん

42回 坂東重明さん

43回 いづみかほるさん

44回 下田喜久美さん

45回 山蔭ヒラクさん

46回 ジョージ土井さん

47回 丸子睦美さん

48回 高橋てつじろうさん

49回 松本のぼるさん

50回 宇田川森和さん

51回 酒匂つよしさん

53回 加藤克信さん

54回 都環咲耶子さん

55回 横山ひろしさん

56回 三島慶子さん

57回 久保田隼斗さん

58回 平藤清刀さん

59回 長倉輝明さん
NEW(2019/02/20)


第59回 長倉輝明さん
 
長倉輝明(ながくら・てるあき)
1967年10月6日生まれ。
兵庫県神戸市出身。
大阪電気通信大学 工学部 電子物性工学科卒。
ソフトウェア開発技術者(主に組み込み、社内システムなど)。
信条は、ありのままの自分でいること。
最大の趣味はビリヤード(30年以上)

愛娘ことちゃんが亡くなって、もう10年経ちます。親の気持ちとしては、正直、どんな気持ちでおられるのか。
当時を思い出すと涙が流れてくることはありますが、悲嘆に暮れることもなく、喪失感もほとんどありません。
全く後悔がないとは言いませんが、できる範囲でやりきったと思っています。
変えることができない過去は素直に受け入れて、未来を想いつつ、現在を生きるのみです。
やっと病から解放された娘に、親のことで心配させるわけにはいきませんし(笑)。


もしもが許されるなら、なにをしてあげたいですか。
生前、「パパとハワイでデートしたい」と言ってくれていたので、ハワイ旅行でしょうか。
娘にしてあげるというよりは、お願いしなきゃならない年頃になってますね(笑)。
私の願望ばかりですが、ビリヤードを教えたい、実家でピアノを習わせたい、色んな活動を体験させてあげたい、といったところでしょうか。


ことちゃんの脳腫瘍が発見されたとき、「生」か「死」を強く意識されたと思います。
原稿を拝見した時、最後の最後まで「生」を信じていた記述にあふれていると感じました。
常日頃「可能性がゼロと証明されないかぎり、諦める理由はない」と思っているので、「生」を信じるのは当たり前のことでした。
ただ、命を考える場合、そもそも「生」と「死」は表裏一体であり、一方だけを無視することはできないので、「生」を信じる一方で「死」も意識する。
心構えとして、ベストケースとワーストケースは考えていました。


奥様と二人、協力し、励ましあっていたことは、「闘病記」に深く刻まれていますが、母としての奥様を、どう見てましたか。また、父としてどうみられていたのでしょう。
立場による見方の違いよりも、一人の人間として見ていたんじゃないかと思います。
お互いに、無理せず、できることを、できる範囲で、できる時にやる、それだけです。
強いて言うならば、父と娘という関係にありがちな、溺愛はしていたと思います(笑)。


小児脳腫瘍という病を抱える子供の親達との交流も始まったようですが、そこで感じられたり、見つけられたことって、なにかありましたか。
周囲からよく言われるのが「冷静さ」です。
この闘病記は、備忘録の意味はもちろんのこと、冷静でいることを心掛けるためのものでもあったので、目論見通りに機能したということなのでしょう。
しかし、戦友であるご両親との交流が増えるにしたがい、「冷静さが過ぎたのではないか?」「親としてどうなんだろう?」と、今でも思います。


時間とともに、過去の記憶は風化するといいます。しかし、親の中にある「記憶」や「思い」は消えない。
愛娘の親であったことの、信念とか、生きる意味とか、自分たちの「これから」を考えると、あいまいではいけない、もっと気持ちを強くという意志があろうかと思います。
今後の自分たちの目標や、生きる意味について。
実は今一番困っていることなんです。
娘が世界の中心だったので、それが失われた今、生きるモチベーションを何に求めればいいのかわからなくなっていて、色々と探し回っているところです。
公私に影響が出ていることから、これが私のグリーフの形なのかもしれません。
娘が命と引き換えにくれた余生、いつか再会した時に怒られないように頑張ります(笑)。

医師や看護師の皆さん、保育所や小学校の皆さん、支援団体の皆さん、ご近所さん、親族など、お世話になった方々には感謝しかありません。
本当に有り難う御座いました。