第53回 加藤克信さん
 
加藤克信(かとう・かつのぶ)
1965年9月15日生まれ。
浜脇中学校卒、西宮今津高校卒、神戸電子専門学校卒。
紳士服屋、行政書士事務所、自動車シート製造会社を経て、介護福祉専門学校中退、大阪文学学校卒、現在社会福祉事業団でアルバイト。
同人誌「雑記囃子」発行者。
趣味はカラオケ、料理、ドラマ鑑賞。


まずは、ご自身が発行している「雑記囃子」について伺います。
これはいつごろ創刊されましたか。その動機や、きっかけは。
2004年8月。中島氏に「同人誌やろう」と誘われ、戸惑っていると谷口氏が「同人誌やる」と言ったので、ぼくも「谷口さんがやるんだったら、やろう」と決め、三人ではじめた。三人とも文学学校つながりですね。


現在で発行何号になりますか?
この2017年10月で22号です。年1回か2回発行の変則でしたが、トータルでは、一年に2冊のペースです。


この同人誌内での役割や、執筆者は何名ほどになるんでしょう
いまの編集長は、中島隆さん。2代目と4代目の担当。ぼくが初代。途中、女性に編集長を譲ったこともあります。
執筆者はピークで12〜13人ぐらい。現在のメンバーは8、9人です。ときどき、初参加の方もお見えですが。


同人誌の目標や、理想はどんなものでしょうか。
それぞれの個人によって違うのですが、「雑記囃子」を通じて、文学賞をねらうということでしょうか。
最近では、谷口さんが、内田百聞賞で最終作品に残り、受賞まであと一歩。まだ稲葉祥子さんも、二年前太宰賞最終候補三編に残りました。


この同人誌のなかで、加藤さんは、多くの作品を発表しています。しかも、長編を。いくつか作品を教えてください。
「ECHO MAN(1)」がぼくにとっての力作ですが、その他にも長編ばかりを仕込みました。
たとえば、「いじけた危ない目つきのloserへの弾み」は520枚、「歪んで空気に包まれて」は310枚、「ECHO MAN(1)」でも270枚書きました。あと、「誰も知らないMyRevolution」「超人拳能見」「知らぬふり」などです。


これまで執筆した作品でもっとも印象に残っている作品はありますか?
それはどんな内容のものでしょうか。
ぼくにとって、一番印象に残っているのは、先ほどあげた「ECHO MAN(1)」です。
ずっと書きたかったテーマで、大阪文学学校に通って、それが実現した。高校時代から21年間、この小説を書くためだけに生きてきた、と思えるほど印象に残っている。忘れられない声が頭から離れない状態(ECHO)の男が大学生の主人公と出会い、大学教授には「エコー症候群」という耳慣れない病気だと言われる、特異な世界を描いたものです。


加藤さんにとって、「小説を書く」ということは、どんな意味、目的があるのでしょうか。
ぼくが比較的長編に手を染めているのは、頭の中に浮かぶイメージを「まとめていくと、長編になっていた。」書いているうちに、これは「面白かったらいい」と続けるわけです。
ぼくがここまで続けられたのは、「雑記囃子」の同人たちの励ましや、応援があったからです。「ぼくの作品を読んでくれた」ことに感謝しています。


加藤さんがこれから「書いてみたいテーマ」はどんなものがありますか。
ぼくの好みは他の人と違うと思うのですが、好きなドラマ、映画、コミックなどに刺激されて、思いつくこともあります。
山崎豊子さんでは、「白い巨塔」「華麗なる一族」などの壮大なテーマ、それと、ぼくは「魔法じかけ」が好きなので、「ハリーポッター」シリーズ。
少年が主役の魔法使いみたいなストーリーが書けたらと。


加藤さんには、特別な才能というか、他人の真似のできないことがおできになる。たとえば、長編をバンバン書く。これは相当の忍耐力と、持続力がないとできない。
ご自分ではどう思いますか。
自分の才能のことはよくわからないけど、ぼく自身は谷口さんからもいわれた不器用な人間だと思っています。
これまでもいろいろな人間関係にぎくしゃくしたことが多かったし、それに耐えてきたから人一倍忍耐力がついたのだと思います。