01回 玉木文憲さん

02回 トーマス青木さん

03回 支刈誠也さん

05回 喜多圭介さん

06回 福堀武彦さん

07回 田野倉悟さん

09回 あまのしげさん

11回 柴崎昭雄さん

12回 大山真善美さん

13回 外岡立人さん

14回 木村司さん

15回 浜野伸二郎さん

16回 泉忠司さん

17回 阿波野ひみ子さん

18回 松浦徹郎さん

20回 玉木文憲さん

22回 濱口隆義さん

23回 佐藤ミツアキさん

24回 篠永哲一さん

25回 佐藤正子さん

26回 尹 達 世さん

27回 石黒敏明さん

28回 緋野 晴子さん

29回 菅原勇太さん

30回 山田博泰さん

31回 万彩タモンさん

32回 津田美智子さん

33回 物河 昭さん

34回 武田久生さん

35回 菅原やすのりさん

36回 朝あさおさん

37回 菅野正人さん

38回 支刈誠也さん

39回 丸子睦美さん

40回 山上安見子さん

41回 久保田隼斗さん

42回 坂東重明さん

43回 いづみかほるさん

44回 下田喜久美さん

45回 山蔭ヒラクさん

46回 ジョージ土井さん

47回 丸子睦美さん

48回 高橋てつじろうさん

49回 松本のぼるさん

50回 宇田川森和さん

51回 酒匂つよしさん

53回 加藤克信さん

54回 都環咲耶子さん

55回 横山ひろしさん

56回 三島慶子さん

57回 久保田隼斗さん

58回 平藤清刀さん

59回 長倉輝明さん
NEW(2019/02/20)

 
石黒 敏明(いしぐろ としあき)
1948年山形県に生まれる。
東北学院大学文学部英文学科卒業、サンディエゴ州立大学(SDSU)で修士号、スタンフォード大学で博士号(PhD)を取得。神奈川大学外国語学部英語英文学科勤続26年、現在当大学教授。その他、青山学院大学(20年)、フェリス女学院大学(10年)、東京大学駒場キャンパス(9年)で非常勤講師。専門は英語学、英語教育。著書に『米国留学紀行』(2005.1 リトル・ガリヴァー社刊)、論文は、「言語習得」、「言語喪失」、「言語使用域(レジスター)」に関するものが多い。

まず、石黒さんの自己紹介を。
国際都市横浜にある私立大学の1つ神奈川大学に勤めて、今年で勤続27年目です。神奈川大学は横浜キャンパスと湘南ひらつかキャンパスがあり、6学部あるうち、私は外国語学部英語英文学科に属しています。さらに大学院外国語学研究科英語英文専攻でも教授職についています。専門は英語学で、その中でも応用言語学(英語教育)や社会言語学、心理言語学に興味を持って研究をして参りました。


英語の専門を極める、そのきっかけになったことは。高校時代とかになにかありましたか。
英語母語話者との初めての接触は、山形の酒田東高等学校に入ってからでした。当時AFS(American Field Service)の留学生としてPamela Scott という学生が米国から来ていました。当時の英語担当教諭は、Pamelaを教室に案内し、我々に質疑応答をする機会を作ってくれたものです。その時の Pamela の発音が、あまりにも衝撃的だったのです。その一例は、women でした。当時私は、単数形はウーマンで,複数形はウイミンと記憶していました。ところが、彼女の発音は、私の発音とは、まったく違うものでした。初めに、唇を丸めてから発音する〔w〕の音、さらに〔I〕の音はひどくあいまいな音に聞こえました。次の驚きは、担当教諭がPamelaと我々の前で流暢に会話をしていることでした。そのような英語教師をかつて見たことのなかった田舎学生の私は、ただ尊敬の念をその教師に抱いたものでした。それが、私が教員になりたいと考えるようになった、きっかけだったと思います。


素朴な疑問ですが、英語は覚えるものなのですか、それとも自然に身につくものなのですか。
大学を出て、英語課程を履修しているのに実際には話せない学生ばかり。そのレベルは中学生英語と揶揄されることもあります。日本の英語教育法に問題ありなのでしょうか。
言語習得には、意識的に覚える知識や意識下のレベルで身につく知識とがあります。どちらも発達しなければ、言語は使用できません。また教授法に関しては、一般的に教育は保守的になりがちです。私たちが受けた文法訳読教授法は、あるタイプの学生には大変有効ですが、大多数の学習者には不向きな面があります。最近はALTの導入、さらに新しい潮流として私の恩師S先生のように、日本人教師の英語による教授法もさかんになっています。でも、オーラル重視の時代に、教育の保守性が多くの教師に、昔風の教授法に逆行させる傾向もあると思います。どちらの教授法にしろ、よく言われる「英語脳」を働かせるには、わかる英語を多く聞き、多く読まなければなりません。もし、英語で悩んでいる人がいれば、ほとんどは、「英語脳」が機能するほど英語を聞く機会がなかったと解釈されます。最近テレビでコマーシャルをしているゴルファーの石川遼君を少しだけ参考にしましょうか?


今回の著作は2冊目になります。前回は、「米国留学紀行」とありましたように、英語の本場アメリカで学習、研究されていた。その体験記のような内容でした。
今度は、指導教官として、学生たちと向き合って、いわば、「教育の現場」を映し出すことに腐心されたように思います。とくに、「イチロー君」に托して、さまざまのメッセージが届けられた。
大学の教員は、3つ仕事があると言われています。第一に研究、第二に教育、第三に委員会などの運営の仕事(または雑用とも呼ばれます)。先輩名誉教授の中には多くの研究書を世に出し、研究業績の点では申し分のない方だが、教室内での教育において極めて学生の評判がよくない人もいます。反対に何らかの理由により研究論文を発表せず、準教授で退職される人。また、教室での教育には熱心だが、論文の方はあまり出版できない人もいます。第三の仕事、雑用とまで呼ばれるお仕事に熱中する教員は、表面的には同僚に同情されるが、論文など出してなければ、非難の対象にもなりえます。理想的には、三つの仕事が均等にできればベストだが、実現はなかなか難しいものです。
今回、教室以外の体験を記述することにより、それらのイベントに参加できなかった学生やこれから参加しようとしている学生に、私たちの体験したすばらしい感動の一部を伝えたいと思い、イチロー君の名前を借り、メッセージを書き綴ったしだいです。


大学を退官されるのも間もなくだと思いますが、退官後のセカンド・ライフとしての設計図はどうですか。
神奈川大学では教員は退職が70歳です。ですから、もう8年ぐらいは勤められます。個人差もあるでしょうが、頭の衰えが始まれば、早期退職することもありえます。その衰えに気づかず働き続け、周りの同僚に迷惑をかけるようなことは、したくないものです。
 さて、セカンド・ライフで何をやりたいか?と問われて、思いつく私の趣味はスポーツと音楽です。小学校から中学にあがる時、中学では部活があると兄に聞き、野球部かブラスバンドかと迷ったものでした。結局はブラスバンドに入り、クラリネットやサックの演奏にあけくれました。そのころN響オーケストラの演奏を聴き、いずれN響に入りたいとも思ったが、夢の夢でした。社会人になってからは、早朝野球に明け暮れ、横浜に来てからは、ソフトボールクラブに参加しアキレス腱を断裂するまでは、結構必死にプレイしてました。考えてみると、野球も音楽も才能が開花せずに今日に至っています。
体力が衰えのため、以前のように全速力で走れない今となって、残ったのは音楽の道かな?と考え62歳になってヤマハでアコギ(アコースティック・ギター)を習い始めました。半年経過し、息子に似てギターの素質があるかな?と、少しうのぼれているこの頃です。という訳で、退職したら、ジャズやフォーク・ソングなどのできる「ライブ・ハウス」を経営するのも、いいかなとワイルドな夢を持っています。客が集まらなければ、自分のライブを観客なしでやるのも、いいのでは?と今現在は考えています。


二冊の著書で触れている「英語習得法とは?」
「私は英語の教師です」と職業を答えると、周りの人に「英語のマスター方法を教えてください」とよく言われたものです、いつも笑ってごまかしていましたが、本心は、「一言で教えてやったら、英語の先生がいらなくなりますよ!私を首にしないで!」と私は心の中で叫んでいたものです。退職も近くなったことだし、ここらで皆さんに「語学の習得秘訣」をご披露しましょうか。
私が信じる言語習得の秘訣は、第1に、好きな分野で、野球ならメジャーリーグ放送に、音楽なら、ジャズやロックにどっぷり漬かる、すなわち理解できる英語のインプットを大いに受信する積極性!
第2に、まだ不完全な語学力であろうとも、恥ずかしがらず、その英語を駆使し内容のあるアウトプットを発信する勇気!
最後に、何度挫折してもやり直す忍耐!です。これこそ、言語習得の究極的三大原則です。