松浦徹郎(まつうら てつろう)
1977年、東京都生まれ。
法政大学工学部卒。
大学在学時より執筆活動開始。現在に至る。
2008年アイレボブックス月間MVP賞連続受賞など



初の著書「裏山の秘密基地」を出されて、著者としての率直な感想は。
発売日、紀伊國屋書店の平台に置かれている本をみるまでは、実感はありませんでした。今は、日々入れ替わってゆく新刊の速度にたじろいでいます。今度は、棚を確保するという段階にステージアップしたのだな、と覚悟を新たにしています。


この作品の構想はいつごろから。そして、実際の執筆期間は。
原案は、2005年に書いた掌編小説です。当時は通信添削を受けていたのですが、アドバイスに「この作品はもっと長い話の一部だ」とあり、書き直すことにしました。現在の形にしたのは、2007年の冬です。期間は3ヶ月くらいです。


出版のきっかけは、当社への作品募集でしたが、そのときの作品審査などを経て、合格した。これでなにか自信めいたものを得たのでは。
「裏山の秘密基地」の原案は、前述の通りかなり初期のものです。その分、小手先のテクニックで飾っていない状態での審査となりました。素性が悪くない、というところが出発点であるのは自信になります。


日頃から、小説の勉強に余念がない。講座を受講されていると聞きましたが、この目的と成果は。
自分がなにを持っているのか。それは他人の目を通さないとわからないものだと思うのです。まず、真剣に読んでくださる最初の読者がいる。これが講座に通う一番の目的です。成果は読者様の心にしか残りませんから、なんともいえません。


松浦さんにとっての小説とはどんなイメージでしょう。「裏山の秘密基地」は、ジャンルでいえば、ライトノベルに近いもの。この路線を定めたのはどうしてでしょうか。
小説は、思想など広義の遺伝情報を伝える手段だと思っています。遺伝子であるからには、より若い人たちに訴えなければ意味がありません。もう一点は、純然たるライトノベルと一般文芸の間に、新人のつけいる隙があるように感じたからです。


次回の新作「次元回廊の翼」は、タイトルが示すように、時空の空間を行き来する飛行機がキー。一種のタイムトリップですが、発想の原点はどこにありましたか。わたしは着想がおもしろいと見たのですが。
私は、団塊の世代の子供です。ところがその下の世代にはもう団塊は見あたらない。少子高齢化です。しかし直接そのテーマを語っても、ただの説教になってしまうので、次元回廊というガジェットを使いました。机の引き出しではなく、飛行機をゲートにしたのは話のスケールを大きくするためです。


小説は、書き続けることによって、周囲からの評価や認知があります。が、相応の覚悟も決めないといけない。 これからの松浦さんはどんな方向を目指し、どのような挑戦をしていくのか、お聞きしたい。
誰もがオンリーワンなどという言葉がありますが、これはうさんくさい。道を究めた結果、初めて誰もまねできない世界(オンリーワン)を築けるのだと思います。目指しているのは、エンターテイナーの仮面をつけた説教親父です。