木村司(きむらつかさ)
1975年、神戸に生まれる。
高校卒業後は、フリーター、競馬場勤務などを経て、2005年に気象予報士試験に合格。
現在は、気象会社に勤める傍らで執筆活動を行う。



最初に、今回のインタビューは過去に登場した中では最年少だと思いますが、それぞれの著者の記事はお読みになったことがありますか。
当然、ありますよ。
人生経験も物書きとしてのキャリアも豊富な方が多く、読んでいて勉強になると感じることが多かったですね。


新刊の「馬蹄の下から」というタイトルは、意味深ながら、これはご自分の体験を元にして書かれたものだと思うのですが、厩舎の世界は、知られざる世界ということで興味があります。実際、どうなんでしょうか。
世の中に色々な職業があって、それぞれに『知られざる部分』というのがあると思います。特に、競馬だけが特殊だとは思わないですね。
確か寺山修司でしたか、『競馬が人生の縮図ではない、人生が競馬の縮図なのだ』というニュアンスのことを語ったと聞きます。まさにその通りだと思いますし、それは競馬だけではなく、小説の執筆にせよ、現在の私が携わっている気象にせよ、同様のことを言うことが出来ると考えています。


厩舎の世話係を体験され、その後、気象関係を仕事として選ばれた。これは華麗な転進なのですか。なにか目的あっての転進なのでしょうか。
まず、転進とは思っていません。
分かりやすく説明しますと、自分は『人生』という学校に通っていて、1時間目は『競馬』、2時間目には『気象』という科目で勉強をさせていただいていると考えています。そこで学んだことを、『小説』という表現で表しているようなものです。
また、勉強中は苦しいことも多々ありますので、華麗という感情を抱いたこともありません。


わたしの想像では、世間とはだいぶかけ離れた情報が行き交い、刻一刻変化するデータを見て、ある種、地球は動いているみたいな感覚が宿るのでしょうか。
そういう感覚を意識したことはありません。
私の携わっている業務は、一般の方々への気象解説、例えば、今日は暑いだの寒いだの、明日は晴れるだの雨が降るだのという情報を提供することです。ですので、出来るだけ一般の方々と同じような目線で気象を見るようにしています。
天気とは生活にとって非常に身近なものですので、自分の接している情報などが世間とかけ離れていると感じたこともありませんね。


競馬の裏舞台といい、日常に関係する気象関係といい、なにかいつも違う視点から関わりをもつという、生き方みたいなものを意識されているのでしょうか。そうでなければならないという理由のようなものがありますか。
先ほども申しましたように、私は人生の学校に通っているという意識で生活をしています。その中で興味のある科目、『競馬』や『気象』を選択しているだけのことなのです。特に意識をしてのことではありませんし、理由もないですね。競馬と気象は『=』で結べないようでいて、似通っているところもあります。競馬で学んだことを気象の仕事をする際に応用していると言いましょうか。
違う視点から、と意識はしていませんが、『周りには絶対に流されないゾ!』という考え方は強く持っています。他の人がそうだからから自分も、では面白くないですからね。
  それは、ひとつ間違うと危険な考え方というのも分かっています。簡単に言えば、偏屈者になってしまう……。そうならないためにも、意識して視野を広げるようにしています。例えば、小説を読むにしても、自分の好きなものだけでなく、色々なジャンルのものを読むようにしています。
最近は、『あさきゆめみし』にハマりました。何故今まで読まなかったのだろうと後悔しました。それまでは、同じ源氏物語を読むにしても活字やないとアカン!というこだわりを持っていて、単に漫画だからということで敬遠していたのですね。偏見はいけないと強く感じました。


最後に、これから書いてみたいテーマとか、題材はどんなものでしょうか。まさか気象関係のものということはないと思いますが。
このあとは、以前御社のコンテストに応募した『シロくん』という作品をモチーフにしたものを書こうと思っています。頭の中で構想がだいぶまとまってきていますので、4月くらいから書き始めて夏までには仕上げたいと考えています。
あともうひとつ、漠然と頭の中に描いているものがあって、それは秋から取りかかる予定ですので、今年中に2つの作品を完成させることが出来れば、と思っています。