━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ガリヴァーの森      第17号 (2009/5/7)                   総合出版 リトル・ガリヴァー社        http://www.l-gulliver.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇Contents◇◆================================================== ●社長・富樫庸よりご挨拶 ●市源小次郎の岡目八目 ●木村司『ことばの歳時記』 ●Web連載 更新のお知らせ ●駆け込み寺 (17) ●今週のおすすめ 新刊案内 ●編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ 社長・富樫庸よりご挨拶 ◇◆ ------------------------------------------------------------------ こんにちは、社長の富樫です。 ゴールデンウィークのさなかに、メルマガ更新というのもへんな話だけど、 大多数が大型連休に浮かれているのに、デパートやスーパー、コンビニの 店員、本屋の店員などは働いている。通りのわきでティッシュを配るおじ さんに連休はない?? なんて考えると、休みにうつつをぬかすのは罪だと いう意識にさいなむ。GOEMONという、荒唐無稽な映画を見たあとに、ふと そう感じた。 サーバーからメールを逆探知すると、Amazonの注文にびっくり。トータル 85冊である。主役は「パンデミック追跡者」。早くもネット公開の効果が 現れている。といっても配達は、連休後になるが。 車には縁がないので、渋滞も関係ない。大きな流れにそわないつもりなの に、向こうから「流れ」がついてきた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ 市源小次郎の岡目八目 ◇◆ ------------------------------------------------------------------ 「24名死亡」 ゴールド・コースト・ブリテン紙の一面の半分を使った見出しに、どきっ とした。 読んでみると、豚インフルエンザ(Swine Flue)が発生してか らの交通事故の死亡者の数だ。 今年の1月から4月までの累計は531名で、今年は、1600名を越え 新記録となりそうだと言う。 「豚インフルで大騒ぎするまえに、もっとすることがあるだろう」という 調子の記事を読んで、オーストラリアの全人口の約0.1%かと考えてい て、前日のNHKのニュースで、「豚インフルの致死率が0.5%だとす ると、1千万人のうち5万の人が命をなくすことになる」というコメンテ ーターの話を流していたのを思いだした。 0.5%という数字を聞いただけでは、「そんなものか」と聞き流す人が 多いはずだが、五万人と聞くと、ほとんどの人が、「こりゃ大変だ」と思 う。 国民の注意を喚起するという意味ではいいのだろうし、パンデミックを考 えると、国としては杞憂に近いぐらいの手を打って丁度いいのだろうが、 日本人には、一つのことに、国を挙げて夢中になる性向がある。 印象が大きい数字を使うというのは、詐欺師の常套手段でもある。 NHKは、むしろオバマの演説のように、「国は必要な手を打っています から、落ち着いて行動してください」ぐらいのメッセージにすべきだった と思う。 仮定の数字ほど恐ろしいものはない。 たとえば、このごろ厚生労働省が連続して公表している年金試算だ。 1日には、実質経済成長率が今後長期にわたってマイナス1%前後で推移 すれば、公的年金は積立金が枯渇して制度が破綻(はたん)するという試算 結果を発表した。 物価上昇率、名目賃金上昇率、積立金の名目運用利回りが、今後それぞれ 過去10年間の実績値の平均(マイナス0.2%、マイナス0.7%、 1.5%)のまま推移し、実質経済成長率がマイナス1.2%の状態が続 くと想定してのことだ。 ありえない話だと思うのだが、どうだろう。 以前にも、人口の増加率、生産性の見通し、物価上昇、給与のスライドな どを悲観的に仮定した試算を発表しているが、どう考えても、これまでの 自分達のいい加減さに頬かむりして、年金政策を自分達が意図した方向へ もっていこうとしているとしか思えない。 同じ数字だが、先日の「四天王寺小説道場」の返本の記事を読んで、ぞっ とした。平均で35%の本が廃棄処分にされていると言う。 新刊を意欲的に出版し続けるリトル・ガリヴァー社だが、その影には偉大 なる苦労があるのを知らされた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ 木村司『ことばの歳時記』 ◇◆ ------------------------------------------------------------------ 『風薫る』とか『薫風』だとかよく言ったもので、このところ、日蔭では 吹く風が心地良く、季節が春から初夏に移り進んだことが感じられます。 この時期に吹く少し強い風を、『青嵐』と呼びます。薫風にせよ青嵐にせ よ、その言葉を聞くだけで、青葉が風に吹かれる様子が目に浮かんできま すよね。 風は、『風向』によって気温が大きく変わってくることがあり、天気予報 をする上でも見逃すことができません。 大阪の場合、西風が吹く日と東風の吹く日とでは、気温が違ってきます。 何故なのでしょう? 大阪市の西側には大阪湾がありますよね。その大阪湾から吹いてくる『海 風』には、これからの季節の場合は気温よりも海水温の方が低いため、気 温の上昇を抑える効果があります。 冬場は海水温の方が高いため、西風の吹いている朝は冷え込みが抑えられ ることもあります。 このことは、当然データにも表れています。大阪よりも海に近い和歌山県 南部の潮岬の気温を見てみると、大阪に比べて、冬は気温が高く夏は気温 が低くなっています。 天気予報を見ていても、普段は風向きなどほとんど気にしないという方も  多いでしょうね(気象予報士になる前の私がそうでした)。 これからは、「風がどこから吹いてくるかな?」と気にしてみると面白い と思いますよ。 風と言えば、これからの季節は『台風』を欠かすことは出来ません。 台風が日本付近に最も影響を及ぼすのは秋ですので、まだ気にする必要は ない! と思っている方もおられるでしょう。 でも、台風がはるか南の海上にあっても海上では『うねり』がやってくる ことがあり、台風が約1500キロ離れていても届くと言われています。 気象庁は、今年から台風の進路予報を5日先まで行っていますので、海で のレジャーを予定されている方は参考にしてくださいね。 ------------------------------------------------------------------ 執筆者プロフィール ●木村司 1975年、神戸に生まれる。 高校卒業後は、フリーター、競馬場勤務などを経て、2005年に気象予報士 試験に合格。 現在は、気象会社に勤める傍らで執筆活動を行う。 著書『馬蹄の下から』リトル・ガリヴァー社 2009年2月28日発売 ▼インタビューページはこちら  http://www.l-gulliver.com/interview/14kimura.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ Web連載 更新のお知らせ ◇◆ ------------------------------------------------------------------ ☆ 人生が豊かになる、リトル・ガリヴァー社のWeb連載 ☆ http://www.l-gulliver.com/webseries/index.html 好評連載中! 5月6日、第10回目の更新。 ------------------------------------------------------------------ ●木村司『夢のつづき』 ・著者プロフィール 1975年、神戸に生まれる。 高校卒業後は、フリーター、競馬場勤務などを経て、2005年に気象予報士 試験に合格。 現在は、気象会社に勤める傍らで執筆活動を行う。 ▼インタビューページはこちら  http://www.l-gulliver.com/interview/14kimura.html ------------------------------------------------------------------ ●柴崎昭雄『歩く速さで』 ・著者プロフィール 1965年5月15日、青森県に生まれる。 1983年の交通事故による頚髄損傷(両上下肢機能全廃) 以来、車椅子の生活。 1990年頃、ラジオ川柳番組をきっかけに本格的に川柳を始める。 1995年、第一句集「木馬館」出版 1999年、第十七回川柳Z賞大賞受賞 2004年、第二句集「少年地図」出版 2007年、信毎ホームページ大賞ブログ部門優秀賞受賞 現代川柳「新思潮」正会員。詩誌「胴乱」所属。 その他 1994年、第22回青森県文芸新人賞受賞 1996年、東奥日報社主催第24回青森県詩祭第一位 ------------------------------------------------------------------ ●山田将一『現代詩』 今年から連載させて頂くボクの現代詩は、大きな意味で「愛」をテーマに した詩を綴っていく予定です。 毎月、5篇(このぐらいが読みやすく適度だと思います)の詩を季節や時 節に併せて、いまに感じたことを書いていきたい。 ・著者プロフィール 1963年 大阪に生まれる。 美術家。美術デザイナー。 詩人であり、楽曲としての作詞も手がける。 ------------------------------------------------------------------ ●立川鈴『透明時間』 ・著者プロフィール 1983年、鹿児島県生まれ。 19歳の時に詩を書き出す。 現在も継続して詩に触れる日常を送る。 ------------------------------------------------------------------ ●米村貴裕『ズバリ解決!妖獣結社』(完結) 人畜がまだ「科学」を知らない混沌とした時代、この地にべらぼうな会社 が登場していた! 相思相愛の妖獣(ビースト)たちが青年の元に大・集・結。 愛と請求書を武器に依頼へ応え、魔女や帝王のたくらみをぶっ飛ばす! 天上天下を揺るがし、走る、戦う、そして一途な想いに胸がキュン。 そう、愛のかたちにキマリはないのだから――。 ・著者プロフィール 1974年横浜生まれ。近畿大学大学院卒。 2001年在学中にイナズマを起業。 現在、有限会社イナズマ取締役・大学非常勤講師兼務。 ペーパークラフトやIT関連事業をこなしつつ、執筆活動を行う。 ▼インタビューページはこちら http://www.l-gulliver.com/interview/04yonemura.html ------------------------------------------------------------------ ●支刈誠也『海外のすすめ 笑えるほどおかしな日本人』(完結) 日本は今や高齢化社会のまっただ中。そんな世代の人たちが、永の住処と して海外に求めるニーズも少なくない。 かくいう本書の著者は、在オーストラリア。長く海外生活の体験をへて、 そのノウハウを学んだ。本書ではその海外を生き抜くノウハウを初めて公 開いただいたもの。 ぜひ、参考にされたい。 ・著者プロフィール 昭和19年、新潟県長岡市生まれ。 東京大学農学部農芸化学科卒業後、鐘淵化学に就職。 在、ゴールドコースト。 ▼インタビューページはこちら http://www.l-gulliver.com/interview/03shikari.html ------------------------------------------------------------------ ●喜多圭介『図書館の白い猫』(完結) ある日、主人公は図書館に住み着く白い猫と遭遇する。ここから人間と猫 の、愉快な交流が始まった。猫語なることばを理解する主人公の、軽妙な 語り口と、さりげない、こころ温まるユーモア小説。 ・著者プロフィール 1942年愛媛県生まれ 慶應義塾文学部(通信教育課程)卒 学習塾経営 大阪文学学校卒後芥川賞候補作家鄭承博氏と同人誌活動 ▼インタビューページはこちら http://www.l-gulliver.com/interview/05kita.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ 駆け込み寺 (17) ◇◆ ------------------------------------------------------------------ 湊かなえの「告白」を通読し、その感想の一端を述べた。「書店の店員が ベスト1に選んだ」一冊。一言でいえば、女性向きの内容。少し根クラな 女教師の手の込んだ復讐劇である。おそらく読みだしたら止まらないスピ ード感もあり、読みやすいフレーズにまとめられている。思いかけず「速 読」というサイトに目が止まる。速読にはコツもあり、それでいて感受性 は熟読と変わらないと書かれていた。 わたしのように、「、」も「。」も気にして読むタイプには速読は無理だ ろうが、なにか魅力的に聞こえる。 速読があるのだから、速記もある。議会の速記係の書いたものを見たこと があるが、記号の羅列だった。あとから、普通文に書き直して、凡人が分 かる仕掛けである。 PCのソースもたまにみるが、「head」「div」「tr」などと独特の記号の 羅列。それも意味があるが、よく分からない。 昔、ミニコンが流行り、プログラムのまねごとをし、ゲームなどを作った。 そのときスタンダードだったのが、「時計」。プロクラムに「時計」を仕 込むのはじつに簡単なんだと思った。少し覚えたつもりだが、もうすっか り忘れている。 わたしが書きたいことは、どの手法であろうと、ひとつのルールというか、 基準があるということ。それを駆使して、新しいモノをプログラムしてい く。小説もまた、ルールがあって、形をなす。 湊かなえの「告白」はそのプログラムに作者の創意工夫が見られた。ルー ルに縛られてもいけないし、ルール無視もどうか。そのあいだに、まだ開 拓されていないものが多数ある。その「あいだ」に限れば、無尽蔵であろ うか。わたしは意外と「お初」が好きである。ライターの新しいものがあ れば、それを先に使う。古いライターはもうすっかり忘れて。PCもワープ ロも率先して、お初をねらった。新しいプログラムの魅力というのだろう か、そこにある発見と意外性に胸躍らす、ただの「新しがり屋」である。 そんな精神が、次から次と、書籍「製造」にうつつをぬかす編集人の仕事 を「サイコー」なんてほざくお役目となったのか。 そういえば、「絶景かな」とほざく五右衛門のせりふも印象的だった。 引き続き、スパム対策として、「公開」メルアドを一時削除としましたの で、こちらに非公開アドを示します。 「hensyubu-1 」 以下は、公式サイトのアドが続きます。よろしくお願い します。「hensyubu-2」は当分、公開しません。 と書きながら、6日付けて、「hensyubu-0」を登録しました。 ▼関連サイト「四天王寺小説道場」 http://blogs.yahoo.co.jp/tontoniboy ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ 今週のおすすめ 新刊案内 ◇◆ ------------------------------------------------------------------ ●支刈誠也著『ヤマシタ・コード』 新書判・338P・ソフトカバー・売価1300円・4月27日発売 ヤマシタ財宝の謎を巡って、おじん探偵団が再び活躍する、痛快なぞとき 推理ノベル。 前作「黄色い花の咲く丘」で真珠湾攻撃を決断した山本五十六の死の真相 に迫ったおじん探偵団が、フィリピンを舞台に、戦後、話題をまいた「ヤ マシタ財宝」捜しに取り組む。その真意をめぐって、残された「ヤマシタ ・コード」を読み解く。その謎の先に果たして、隠された財宝はあったの か、なかったのか。迫真の展開で謎が謎を呼ぶ、スリリングな展開が待っ ていた。 予約受付中。 ▼新刊情報はこちら http://www.l-gulliver.com/book/newbooks.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ 編集後記 ◇◆ ------------------------------------------------------------------ 編集長の内藤善弘です。 大型連休はいかがでしたか? 今年は高速道路割引の影響もあって、車で遠出をする人が増えたようです。 お金の流れる先が変わっただけ、という話もありますが、それなりの経済 効果はあったのではないでしょうか。 さて、このメルマガも、5ヶ月目に入りました。 みなさんからのご意見などをお待ちしています。 ▼ご意見、ご感想などはこちらのメールアドレスまでお願いします。 gmm@l-gulliver.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信先変更、配信停止の手続きは、こちらからお願いします。 http://www.l-gulliver.com/ ※本メールマガジンに掲載された情報を許可なく転載することを禁じます。 ※本メールマガジンにより生じる損害などについて、弊社は一切責任を負 いません。 ------------------------------------------------------------------ ※本メールマガジンは、等幅フォントで作成しています。罫線や枠内のデ ザインがずれて見える場合は、お使いのメールソフトのフォント設定を等 幅フォント(Windows:MSゴシック、Mac:Osaka等幅など)に設定してご 覧ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ガリヴァーの森 発行者 株式会社リトル・ガリヴァー社 代表取締役 富樫庸 編集者 株式会社リトル・ガリヴァー社 企画室長 内藤善弘 公式サイト http://www.l-gulliver.com/ メール gmm@l-gulliver.com 登録、解除はこちら http://www.l-gulliver.com/ (c)2009 Little Gulliver Sya All rights reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━